不動産競売物件:競売物件の実務体験談

今までの経験の中から下記の実例を紹介します。

●家の傾斜

築20年以上の中古住宅でしたが、東南角が沈下し1階並びに、2階の床が大きく傾斜していました。調査したところ、東南角の基礎が割れて沈下していました。

基礎ヒビ

原因は樋の排水が下水管に配管されず、その箇所にたれ流しになっていた事、並びに基礎の鉄筋が少なく、ローソク基礎であった事でした。

修復方法として、先ず土台と土台の間を鉄レールで渡し、ジャッキで土台を 持ち上げ水平を保ち、破損した基礎を撤去しジャッキを埋め込む形で、新たに基礎を打ち、土台の水平を修復しました。 その後、期間をおき、水平レベルチェックを行いましたが、傾斜は完全に修復出来ました。

●ガス管の破損によるガス漏れ

中古マンションを購入したお客様が転居のため、ガスの開栓を東京ガスの指定業者に依頼したところ、ガス管が元栓近くで切断されており、キッチンのガスコンロまでガス管がつながっていません。開栓を依頼した業者は、原因がわらないため、東京ガスが調査したところ、何年か前に同室でガス漏れがあり、キッチン付近のガス漏れが判明したのですが、当時の所有者からフローリング床の撤去、張替工事はしたくないのでやめて欲しいとの指示で、 やむなくガス管の工事はしないで切断したとの事でした。

事情が判明したのですぐ建築業者と現地に出向き、フローリング床を剥がして調べたところ、新築時コンパネ材に釘 を打つ時、誤ってガス管に釘を刺してしまって、その釘が何年か経つうちに釘穴がずれてガス漏れを起こしました。

その状況をそのままにして、マンションの新築時の売主( 一流マンションデベロッパー)を呼び現況を確認し、ガス管の交換工事、フローリング床、 遮音マットの張替工事、東京ガスの床暖房張替工事をデベロッパーの全責任負担で完了しました。又、責任上当該修復工事を施行した建築業者も大手の建築業者でした。

●地下室のある中古住宅

雨になると北側斜壁面が湿気をおびベッタリ濡れた状態になるので、地下室の構造に問題があるのかと大変心配しましたが、樋排水に気づき排水状態を見たところ、他の樋排水 は下水管に接続されていましたが、玄関わきの樋排水だけが下水管に接続されず垂れ流しに なっていました(距離が長いため手抜き?)。

樋排水

その樋は2階の大屋根の雨水を一挙に受けるもので、雨になると大量の雨水が地下室の 北側壁面に向かって流れ込んでいると容易に想像出来ました。

すぐその樋排水を下水管に接続し、雨の都度、状況を観察しましたが、その後、どんな大雨になっても前述の北側壁面は湿気をおびず安堵しました。

この建物の建築業者が優良業者で地下室の構造に問題はありませんでしたが、もしこれが手抜業者であった場合、地下室の漏水補修工事は不可能かも知れません。
今後、地下室のある中古住宅は避けようと思います。

ゴミ屋敷

●驚愕のゴミ屋敷

この物件は外観からも悪い状況を予想出来ましたが、お客様が直接落札された後、当社に明渡業務を依頼された物件です。

明渡通知に何の応答もないので直接訪宅したところ玄関戸が開いたので、屋内に立ち入りましたが強烈な異臭がたちこめ土足で出入りしている状況でした。雨戸を閉めたままの居間に猫5匹と犬1匹がゴミの山の中で排尿便をし放題、各部屋は 勿論、流し台、浴室はゴミが山積みで使用出来ません。

後日、数多くの執行に立ち会っている執行官でさえ、あまりの状況に驚嘆していました。

とにかく明渡を実行するため、ゴミの産廃処分は落札者が負担しましたが産廃処分のゴミ量は4屯車で7台分にもなりました。この様な状況のため水回り設備は使いものにならずフローリング床も腐り悪 臭がしみついでいるので全部はがして張り替え工事を施工し、結局、産廃処分費と併せてリフォーム工事代400万円を費やしました。

●犬を置き去りにした犯人

戸建住宅を落札したので明け渡し文書を投函したところ持ち主から電話があり、近くの喫茶店で待ち合わせをしました。 最初の印象では何か普通と違った“得体の知れない”と云った様な感じを受けましたが、明け渡し期日と明け渡し料を決め後日約定書を交わす事になりました。 最後の明け渡し料の支払時に借家先の都合で5日間だけ明け渡し猶予を貰いたいとの申し出がありこの担保に鍵を受け取り6日後に残置物を処分する事にした。

6日後現地に行ったが、本錠の他に補助錠が取り付けられていたので本人の携帯に連絡したところ不通になっていました。すぐ裁判所に強制執行の手続をとりましたが、翌日、警察が本人を捜すための事情聴取に来店されました。私が最後明け渡し料を支払った日に本人が街中で発砲しその後逃走しているとのこと、私は先ずその家の中にいた犬が心配になり翌朝解錠技術者を同行して同家に立ち入る事にし、警察も一緒に立ち会う事になりました。然し当日の夜中に担当警部から本人を逮捕したとの連絡があり明朝は当社のみ立ち入りました。

柴犬

朝9時に現地に到着しすぐ解錠し家にいた犬(柴犬の雑種)を保護し近くの公園に連れて行ったところ1週間分の大量の便を数回に分けてしていましたが、感心にも家の中には一切大便はありません。

3日後、警察の家宅捜査に立ち会い、その後大量の残置物を廃棄処分し当該物件を処分しましたが、犬の首輪の鑑札から役所に事情を話し犬の生年月日、名前を知り、当店で飼育しながら里親を探しました。幸いにも大変良い飼い主が見つかり現在も元気に暮らしております。私が毎朝・毎晩散歩させ4ヶ月間飼育したので複雑な思いでしたが犬の幸せを考え手離しました。ちなみに以前の飼い主は(逮捕済)は、当分服役する事になりました。

●競売の売却で抹消されない権利

競売事件の担保を目的とする抵当権等の設定登記以前に登記された各種登記(仮登記、仮処分登記、買戻特約登記、地役権設定登記、賃借権設定登記等)は、競売の売却により抹消されません。
又、競売の売却により抹消されない権利は、物件明細書の「3 買受人が負担することとなる他人の権利」の欄に記載されますが、抹消の嘱記ができない登記として、「売却により効力を失ったわけでない登記」があります。

買戻期間内に買戻権の行使がされず、買戻権が消滅した買戻特約登記、存続期間の満了している不動産質権登記等、競売の売却により効力を失ったわけではない登記は、競売の抹消の対象とはなりません。

親が高齢の為、子が生前贈与の所有権移転の仮登記を設定しましたが、親が間もなく亡くなり、前記仮登記をそのまま登記上残して相続登記を行いました。
その後、金銭を融資した金融機関が仮登記名義人と相続登記名義人が同一人物であるので前期仮登記を残したまま抵当権を設定しました。

数年後、本物件は競売になりましたが、前記仮登記は抵当権設定以前の登記であるため、競売の売却では抹消されません。又、競売の物件明細書3の「買受人が負担することとになる他人の権利」は「なし」と記載されています。
然し、本物件の落札人は引渡命令の申立は出来ますが、前記仮登記権利者が本登記移転の訴訟を申し立てた場合、後順位者は承諾義務があるため、全抵当権が抹消された当該物件を仮登記権利者が取得する事になります。従って、落札人は競売代金を支払い名義を取得したものの、当該物件を失うことになります。

●共有持分の分譲マンション

共有持分の競売物件の買受人は、競売事件の債務とは関係のない共有者に対して当該物件を占有して使用出来るわけではありません。

当該物件を占有して使用するためには、他の共有持分の共有者に対して、共有物分割の訴訟を申立る事ができます。

買受人が取得した共有持分の換価で、他の共有者に対して共有持分の価格賠償による分割を申し立てます。相手方が当該換価で買取りが出来る場合は、買受人の共有持分を売却して相手方の占有物件となります。但し、通常の場合、他の共有者が買受人の共有持分を買取れる事はほとんどないので、買受人は他の共有者の共有持分の換価で共有持分を買取る事になります。但し、訴訟の手続をとるため、1年~1年半位の裁判期間を要しますが、共有者のいずれもが買取れる資力がない場合、強制競売手続をとる事になります。強制競売による売却代金は共有者の共有持分に応じて配分される事になります。

親子共有持分の分譲マンションで息子の共有持分4/5は、3月公売により不動産会社が購入して登記も完了していました。2ヶ月後に父親の共有持分が競売開始決定され11月に競売売却が実施されましたが、落札者は共有持分の意味を理解せず、多額の入札価格(基準価格は低価格)で落札しました。

落札後、明渡業務依頼のため当社に来店されましたが、多額の残金を支払い物件を取得しても、公売で取得した不動産会社(共有持分4/5)にさらに多額の代金を支払うか、又は落札人の共有持分(1/5)を低額で買いとられるか、いずれにしても大変不利な取引になるので、買受保証額を放棄して物件を流すように奨めました。幸い残金支払前であったので少ない買受保証額(基準価格は低価格)で済みましたが、共有持分の売却は一般的には避けて下さい。

●建物だけの競売物件

この物件もお客様が落札された後、明渡業務を依頼された物件です。

建物だけの競売物件のため、売却基準価格が低くお客様はチャンスと思って入札しましたが、底地は建物所有者の親の所有でした。この場合、親子間の為、土地の賃貸借ではなく土地の使用借となります。

物件明細書3

建物だけに抵当権が設定されて当該建物が競売になると、裁判所の物件明細書3の「買受人が負担することになる他人の権利」は「なし」とされていました。

これを見てお客様は問題なしと思い入札したのですが、敷地利用権が使用借権のため、建物落札人に対して、土地所有者が土地の賃貸借契約を拒絶し建物の収去訴訟を申し立てた場合、落札人は建物を収去して土地を明渡さなければなりません。
但し、土地所有者が賃貸借契約を締結してくれないかと期待して交渉に出向きましたが、数日後、弁護士事務所から、当方の建物の明渡に対抗して建物の収去訴訟を申し立てるとの連絡がありました。

その為、お客様に対し「競売残代金を支払い名義を取得しても、その後建物の解体工事費を負担して土地を明渡さなければならない」という事を理 解してもらい「買受申出保証金額」を放棄しました。

●6ヶ月間の引渡猶予のある占有者

平成16年4月1日以降に発生した賃借権は、従来の短期賃借権が適応されず競売の売却により当該賃借権は消滅しますが、民法395条第1項の規定により、抵当建物使用者は買受人の買受けの時から6ヶ月を経過するまではその建物の引渡を猶予出来ます。

但し、同条第2項の規定により、抵当建物使用者がその建物の使用したことの対価(以下賃料相当額を云う)を1ヶ月分以上支払わなかった時、買受人は「抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1ヶ月以上の賃料相当額の支払の催告をしその相当の期間内に履行がない場合」には前項の規定は適用されません。

その場合、内容証明で抵当建物使用者に対し賃料相当額の支払を催告しますが、内容証明によっては裁判所は催告を認めませんので、専門家の検証が無難です。

相当の期間内に賃料相当額の支払が履行されなかった場合、引渡命令を申請できます。裁判所は抵当建物使用者に審尋を行ない不履行を確認した上で引渡命令を発行します。この引渡命令をもって強制執行を申請できます。

●現況調査報告書に記載のない占有者

落札した雑居ビルに出向くと、現況調査報告書に記載されていた賃借人の他に記載のない占有者が在室していて、前所有者との賃貸借契約書を提示した。内容は前所有者に金銭を貸し付け、その返済方法として月額賃料を支払う賃貸借契約書でした。

当社はその内容に疑問を持ち、裁判所に前述の賃貸借契約書を添付して引渡命令を申請しました。
裁判所は本人に審尋した結果「買受人に対抗出来ない占有者」と判断し引渡命令を発行しました。

この引渡命令をもって強制執行を申請出来ます。もし、当該占有者を6ヶ月間の引渡猶予のある占有者と勝手に判断し、引渡命令の申請を6ヶ月後に行った場合、申請は受理されなかったと思います。何か不測の事態が生じた場合、裁判所に判断を委ねる事が賢明です。

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